シラバス詳細

シラバスカテゴリー
科目コード
学年
開講期間
開始時限
修了時限
大学
科目名
単位数
曜日
履修登録時期

多文化共生の心理学

開設大学 名古屋市立大学
科目コード 240744
担当教員 久保田 健市(人文社会学部教授)
学年配当 2年, 3年, 4年
単位数 2単位
曜日 金曜日
開講期間 前期
実施形式 対面
開講時間割1 1限 09:00 ~ 10:30
教室 滝子キャンパス1号館201教室
募集定員 5
募集時期 4月
開講期間
講義概要 1990年代以降,グローバル化の進展は,カネとモノだけでなく人の移動を活発にし,民族性や文化の異なる人々が混在する多文化状況が,世界中の都市・地域で発生するようになってきている。同時に,冷戦の終結と入れ替わるように,民族間の対立や地域紛争が先鋭化し,深刻化している。ともすれば,暴力や戦争や紛争は「必要悪」であり,人間および人間社会にとって必然あるいは不可避のものと考えられてしまうこともある。しかし,生物科学や社会科学の知見は,そのような考えが決して真ではないことを示している。
多文化状況の中で,さまざまな「差異」を持つ人々の間の融和を促し,紛争の解決や相互理解を促すことは,現代の日本社会に暮らすわたしたちにとっても,非常に重要な課題である。「多文化共生の心理学」は,平和構築や多文化状況に対し心理学の立場からアプローチし,諸問題の理解や解決に向けた新たな視点を提供することを目標とする。同時に,受講生自らが,個人の尊厳や人権の尊重について再考し,自らの人間性を高める契機となることも期待される。具体的には,(a)人間の攻撃性,(b)集団間の葛藤,(c)葛藤解決の手法,に関連する心理学研究について講義する。加えて,ビデオ視聴やワークショップなどに基づく学習を行う。学習の成果は,講義ごとの理解度テストやふりかえりのレポートによって評価する。
 授業は,以下のスケジュールに従う。
1. オリエンテーション ?現代社会とESD,ESDと心理学
2. 多様性って何だ?(ワークショップ)
3. 心理学から見た多様性(ワークショップ)
4. 攻撃の本能説 ?精神分析学,動物行動学から見た攻撃
5. 攻撃の情動発散説・社会的学習説
6. 政治力を理解する(ワークショップ)
7. 環境が引き起こす暴力 ?人種主義・ヘイトクライム
8. 心理学と人種主義
9. 集団間関係の心理
10. 「戦争の記憶」のピア・レビュー(ワークショップ)
11. 集合的記憶としての「戦争の記憶」
12. 難民?「いのちの持ち物検査」(ワークショップ)
13. 無差別襲撃の心理学
14. 集団間接触と集団間調和
15. 葛藤解決のアプローチ ?葛藤解決ワークショップ,ジャスト・コミュニティ
テキスト・参考文献 ・課題図書『戦争の記憶 コロンビア大学特別講義 学生との対話 』 キャロル・グラック(著)講談社現代新書 2019年 978-4065154304
・参考図書『平和を創る心理学―暴力の文化を克服する』心理科学研究会(著) ナカニシヤ出版 2001年 978-4888486361 『紛争と平和構築の社会心理学―集団間の葛藤とその解決』 Bar-Tal, D. (著), 熊谷智博・大渕 憲一 (訳) 北大路書房 2012年 978-4762827877 『グループ・プロセス―集団内行動と集団間行動』 Brown, R.(著), 黒川正流 (訳)北大路書房 1993年 978-4762801914
試験・評価方法  成績評価は,レポート・ワークショップのふりかえり・小テスト・予習課題・期末定期試験・学生自己評価を総合して行う。
・レポート(10%): 「課題図書『戦争の記憶』を読み,「共通の記憶」(public memory)が持つ性質・特徴,および,その形成過程について,典型例とともにまとめなさい」提出期限5月末 課題図書における議論の理解度を評価する。
・ワークショップのふりかえり(25%): ワークショップを実施した授業の後に,インターネット上の回答フォームを介して,ふりかえりを実施する。ワークショップの中で感じたこと考えたこと,それらと日常の出来事との関連性について,どのくらいの深さおよび幅の広がりをもって考察したか,および,授業で扱った心理学の基本的概念や考え方をどの程度活用して考察できるかをを問う。
・小テスト(25%): 講義を実施した授業の後に,インターネット上の回答フォームを介して実施する。授業で扱ったキーワードの意味の理解や心理学的な考え方の理解を問う。
・予習課題(5%): 各授業回ごとに,インターネット上の回答フォームを介して実施する。次回の講義・ワークショップのキーワードとなる概念に関する問いを出題したり,関連資料をもとに提示された問いに対して,自ら調べた事項やそれに基づく考えを問う。
・期末定期試験(30%): 人間の攻撃性,集団間の葛藤,集団間葛藤解決の手法,に関して,心理学の専門用語や基本的概念を使って説明したり考察できる力を問う。
・学生自己評価(5%): 学習目標をどの程度達成できたか,および,学習目標達成のために自ら行った学習の質について,学生自らが評価する。
別途必要な経費 特になし
その他特記事項 授業では,英語のビデオ視聴やYouTube動画などを複数回視聴します。また,複数回のディスカッション,ワークショップを実施します。
科目名(英語)
使用言語

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