環境リスク概論
開設大学 | 人間環境大学 |
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科目コード | 244702 |
担当教員 | 谷地 俊二(環境科学部准教授) |
学年配当 | 1年 |
単位数 | 2単位 |
曜日 | 火曜 |
開講期間 | 前期 |
実施形式 | 対面 |
開講時間割1 | 3限 13:10 ~ 14:40 |
教室 | 岡崎キャンパス(教室未定) |
募集時期 | 4月 |
開講期間 | 9/20~1/24 |
講義概要 | 【科目の目的】 地球環境問題への対応やその解決においては、科学的知見を得ると共に、問題への柔軟な解釈と策を見出す能力が求められる。また、農薬に代表される化学物質は私たちの身近なものである。それらを使用する、もしくは使用されたものを扱う際には、使用者個人に使用の程度について判断を委ねられることになる。このことから、環境問題や科学的なものの考え方を踏まえた上で、科学的判断ツールとしてリスクの概念を理解し、多角的で合理的な思考法を身に付けることが本講義の目的である。 【科目の概要】 本講義では、環境問題や科学的なものの考え方を踏まえた上で、科学的判断ツールとしてリスクの概念を理解し、多角的で合理的な思考法を身に付けられるように段階を追って展開していく。第1回の講義では、本講義における基本的なリスクの考え方を概観する。第2回の講義では、リスクを考える際の指標となる「安全」について、個人レベルと社会的な合意との違いについて理解する。第3回の講義では、リスク評価の目的が管理対策を決めることであることを学び、対応の遅れがより環境リスクを進行させる恐れがあることを理解する。第4回の講義では、リスクを学ぶにあたり、そもそもリスクの発生元である環境問題がどのようなものであるかを、具体例を挙げながら確認していく。第5回の講義では、第4回で確認した環境問題について、優先して取り組むべき課題を考える際に、リスク評価を指標として比較できることを学び、それを実行するために様々な学問を学ぶ必要があることを理解する。第6回の講義では、第5回で確認した様々な学問の中でも科学が重要であり、物事を科学的に解釈することの重要性と利点を、講義担当者の実体験も取り入れながら解説する。第7回の講義では、本講義において核となるリスクというものの考え方の基礎を学ぶ。ここでは基準値をもとに、社会的な安全と個人の安全を例に挙げて理解を深める。第8回の講義では、ここまでの講義での学びの復習を行い、各自の理解を深める。第9回から第12回までの講義では、身の回りのリスクから環境問題に関するリスクについて、実例を挙げながら、問題点と対応策を学ぶ。第13回の講義では、これまでの講義で学んできたリスクというものの考え方を各自に定着させるため、グループディスカッションを通して他者と意見交換を実施しながら理解を深める。第14回の講義では、グループディスカッションを通して各自が整理したリスクの考え方を全員で共有するため、発表会を行う。第15回の講義では、これまで学んできた環境問題の捉え方やリスクの考え方に基づいて、改めて環境問題の複雑さや、考慮すべき事項について概観する。 【科目のキーワード】 ①地球環境 ②科学 ③環境リスク ④多角的視点 ⑤熟慮 ⑥複雑さ 【授業の計画】 1.概論(本講義の進め方) 2.安全について 3.環境とリスク 4.環境問題とは何か 5.環境(問題)の見方 6.科学的なものの捉え方,考え方 7.リスクという考え方 8.まとめ 9.身のまわりのリスク 10.環境リスク~食のリスク 11.環境リスク~農薬のリスク 12.環境リスク~重金属のリスク 13.グループディスカッション 14.グループ発表 15.環境問題の複雑さと解決指向型リスク管理 |
テキスト・参考文献 | 【教科書】なし 【参考文献】加茂将史 (2017)「生態学と化学物質とリスク評価」共立出版¥1,800(ISBN978-4-320-00917-2)・谷地ら(2017)全国350の流量観測地点を対象とした水田使用農薬の河川水中予測濃度の地域特異性の解析,日本農薬学会誌42,1-9・酒井聡樹 (2017)「これからレポート・卒論を書く若者のために」共立出版¥2,600(ISBN4-320-00571-6)・命をつなぐPROJECT編 (2019) ecoReco aichi, フリーペーパー・西尾実ら (2011)「岩波国語辞典第七版新版」岩波書店¥3,300(ISBN978-4-00-080046-4)・日本農薬学会編 (2004)「農薬の環境科学最前線-環境への影響評価とリスクコミュニケーション-」ソフトサイエンス社¥3,800(ISBN4-88171-110-5)・永井と谷地(2013)情報基盤としての農薬インベントリーと その出口としての生態リスク評価, 環境毒性学会誌16, p. 43-48・環境省 (2019)「環境白書」・ゲルト・ギーゲレンツァー (2010)「リスク・リテラシーが身につく統計的思考法」¥860(ISBN978-4-15-050363-5)・中谷内一也 (2003)「環境リスク心理学」¥2,000(ISBN4-88848-751-0)・中野明正 (2012)「未来の循環型農業インテグレーテッド有機農業論」¥1,800(ISBN978-4-416-91236-2)・松永和紀 (2010)「食の安全と環境「気分のエコ」にはだまされない」¥1,600(ISBN978-4-535-04831-7)・国立研究開発法人農業環境技術研究所化学物質環境動態・影響評価リサーチプロジェクト (2016)「【技術資料】農薬の生態リスク評価のための種の感受性分布解析」・SANCO (2012) Guidance document on the authorisation of plant protection products for seed treatment・大木道則ら編「化学大辞典」¥42,000(ISBN4-8079-0323-3)・村上道夫ら (2014)「基準値のからくり 安全はこうして数字になった」講談社¥920(ISBN978-4-06-257868-4)・永井孝志(2013)リスク評価とリスク管理の位置付けを再構成する解決思考リスク評価,日本リスク研究学会誌23, 145-152。 |
試験・評価方法 | 出席回数の基準(全授業回数の3分の2以上の出席)をクリアし,期末試験(100%)によって評価する。 |
別途必要な経費 | 特になし |
その他特記事項 | |
科目名(英語) | Introduction to Environmental Risk |
使用言語 | 日本語 |