シラバス詳細

シラバスカテゴリー
科目コード
学年
開講期間
開始時限
修了時限
大学
科目名
単位数
曜日
履修登録時期

現代物理学2

開設大学 大同大学
科目コード 242612
担当教員 斉田 浩見(教養部教授)
学年配当 2年, 3年, 4年
単位数 2単位
曜日 木曜
開講期間 後期
実施形式 対面
開講時間割1 5限 16:20 ~ 17:50
教室 未定
募集定員 5
募集時期 9月
開講期間 9/30~1/27
講義概要 原子サイズ以下の極微な物理を正確に記述する、量子力学の基礎的な講義です。
19世紀までの物理学を支えた理論はニュートン力学です(大同大学では力学1,2,3でその一部を扱っています)。しかし、19世紀の終わりから20世紀初頭にかけて、ニュートン力学は厳密には正しくないことが、様々な実験によって明らかにされました。20世紀以降の科学技術で達成可能な精密な実験結果を説明し、自然現象の詳細を理解するために、人類は新たな理論を作らなければならなくなったのです。
20世紀以降に確立された物理学(いわゆる現代物理学)は、大きく分けて2つの理論によって支えられています。「相対性理論」と「量子力学」です。現代物理学で得られている成果(電子顕微鏡、超伝導半導体、発光ダイオード、レーザービーム、人工衛星を使った精密なカーナビ、星の輝きの原因の説明、ビックバン宇宙論、核兵器などなど)は、この2つの理論が正しいと信じた上で導かれたものです。
現代物理2では「量子力学」を取り上げます。自然現象を理解する上での考え方としては、相対論よりも量子力学のほうが、人間の直感を遥かに超越した「モノの見方」を要求しています。例えば「粒子の運動(位置と速度)を100パーセント正確に予測することは原理的に不可能である(不確定性原理)」というモノの見方です。その帰結として「様々な種類の原子が崩壊せずに安定して存在できる」ことが初めて理解できるのです(ボーアの原子モデル)。この授業では、量子力学がもつ思想(量子論的な自然観)の必要性と内容と説明した上で、ボーアの原子モデルとその応用を理解することを目指します。
また、不確定性原理の別の帰結として「完全に密閉した箱の中に閉じ込めた電子(などの粒子)が壁をすり抜けて外に現れたり、逆に箱の外の電子が壁をすり抜けて中に入ってしまう」という現象が理解できます。この「壁のすり抜け(トンネル効果)」は、原子核反応や発光ダイオードの基礎となる現象です。これを理解するためには、複素関数の微積分をマスターする必要がありますが、その数学は可能な限り簡単化して、トンネル効果を説明(紹介)することを試みます。そして、原子核反応を大雑把に説明した上で、太陽のような星の輝きの原因(星がどうやって生まれ、そして死ぬか)などの説明も試みます。
なお、講義担当の斉田は、相対性理論とそれを応用した宇宙物理学が専門の研究者です。講義最後の星の話は、宇宙物理学研究者の教養の一旦をみせることになります。授業中でも、授業以外でも、物理学に関する質問や疑問を投げかけて下さい。現役第一線で研究をしている者として答ます。

[1] 準備:ニュートン力学の自然観のまとめ ― 粒子と波動 ―
[2] 量子力学への導入1:量子の概念 ― 物質波(粒子性と波動性の共存)―
[3] 量子力学への導入2:コンプトン散乱 ― 光の粒子性 ―
[4] 量子力学への導入3:光電効果 ― 光の粒子性 ―
[5] 量子力学への導入4:電子の干渉実験 ― 電子の波動性 ―
[6] 量子力学への導入5:ボーアの原子モデルと輝線スペクトル ― 電子の波動性 ―
[7] 量子力学の数学:確率、複素関数、ベクトル空間
[8] 量子力学の原理1:波動関数と不確定性原理 ― 物質波の確率解釈 ―
[9] 量子力学の原理2:波動関数の重ね合わせの原理 ― 基礎方程式を探す手がかり ―
[10] 量子力学の基礎方程式:シュレーディンガー方程式 ― 波動関数の運動方程式 ―
[11]量子力学での測定:物理量とその測定による期待値 ― シュレーディンガーの猫 ―
[12]量子力学の練習問題:箱の中の粒子 ― 無限に高い壁と有限な高さの壁 ―
[13]量子力学の帰結1:トンネル効果 ― 電子顕微鏡 ―
[14]量子力学の帰結2:原子核反応、半減期 ― 物理学の負の産物、核兵器 ―
[15]量子力学の帰結3:星の輝きの原因 ― 星の誕生から死まで ―
テキスト・参考文献 「物理学の基礎」山本邦夫 著、学術図書出版
「工学系のための量子力学」上羽弘 著、森北出版
「量子力学の基本原理」デヴィッド Z.アルバート 著(高橋真理子 訳)、日本評論社
「量子力学1」ランダウ、リフシッツ 著(佐々木健、好村滋洋 訳)、東京図書出版
試験・評価方法 自由科目(卒業単位に無関係な科目)なので、興味を持って参加すればOKです。
予習や復習の指定はありません。

pagetop